婚礼衣装に求められてきたものの「これまで」と「これから」

石川県金沢市の伝統工芸であり、日本三大友禅のうちの一つである「加賀友禅」ですが、

これまで花嫁衣裳を産業として作ることはありませんでした。

それは平成までの婚礼スタイルと花嫁衣裳の需要に関係があります。

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なぜ今まで無かったのか

婚礼衣装に求められてきたものの「これまで」と「これから」

昭和~平成の結婚式の常識は「いかに華やかに魅せるか」「いかに花嫁を派手に目立たせるか」に注力されてきました。100名規模の大宴会場で執り行う披露宴では、遠くからでも目立つよう花嫁の存在感をアピールすることで特別感を演出する必要があったのです。金彩や刺繍で絢爛豪華、貴族文化から発展した京友禅の花嫁衣裳が最適とされ、反対に、武家好みのおしとやかで自然美を模写し、染のみの技法を貫いてきた加賀友禅は花嫁衣裳を作ることはありませんでした。また、すべて手作業のため大量生産に向いておらず、全国的に普及させることが難しいとされていました。

しかしこれからの花嫁衣裳について考えてみると、必ずしも「派手さ」を求められているとは限らないことに気がつきました。プロデューサーである私自身、現役の花嫁スタイリストとしても活動しており、今の花嫁さまのお好みを肌で感じております。

結婚式のスタイルによって衣装選びも多様になり、花嫁さま自信の好みが重視されるようになりました。大人の花嫁が増えたことで次のような意識を持つ花嫁が増えたとされます。まず、少人数の結婚式も増えたことで、ゲストとの距離が近くなること。次に、結婚の適齢期も上がり社会的な立場もしっかり確立された女性が増え、大人花嫁だからこそゲストの期待を裏切らない”ちゃんとしてる感”のプレッシャーがかかること。

そして、かわいいや憧れだけでなく意味のある本物の結婚式を求めている花嫁さんが増えていること。このような現状がありますので、その要望に応えられるのが加賀友禅だと確信をしました。

そこで、最高級の工芸品と言える花嫁衣裳を作ってほしいとご依頼をさせていただきました。2名の先生の共同作品をお願いした所以も、伝統工芸の繁栄の観点から、より新しい感覚で伝統が広まればうれしいと考えたからです。

 

 

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